「2013年8月~ 休職・自宅療養」のつづき。
休職してひと月ほどたったころ、妻が、猫を飼おうと言い出した。
以前から猫好きだった妻が、猫を飼いたがっているのは知っていた。だから、ペット可の家に住んでいた。
2人とも働いているので、猫を迎えることに気がひけていたのだが、休職するのなら一日中面倒見れるでしょ?というのが妻の言い分だった。
比較的体調のいい日を選んで、里親を募集している保護施設を訪ねるようになった。
家に引きこもりがちの俺を、外に連れ出す口実であったのかもしれない。
そして、ある日、一目惚れした子猫二匹を引き取った。
休みはじめてから、ちょうどひと月が経ったころだった。
当初は、人を見ると威嚇し、ケージの隅や机の陰に隠れていた二匹だったが、一週間もすると気を許し始めた。
体調が優れず、ほとんど一日中寝て過ごす日々だったが、猫の世話をするときは起き上がることができた。
トイレを掃除したり、飲み水をかえたり、時には、おもちゃで遊んだり。
しばらくすると、寝ている俺のすぐそばで、一緒に寝るようになった。
傍らでおとなしくしている姿は、まるで慰められているようだった。
これは後日談だが、妻にとっては、自殺防止の手段だったそうだ。うつ病と聞いて、真っ先に自殺を心配したらしい。
自分では何もできない子猫、自分より弱い立場の子猫が一緒なら、多少具合が悪くても、頑張って世話をするだろう、というのが妻の考えだった。
アニマルセラピーなんてのが存在するが、なるほど、動物は人に癒しを与えてくれる存在のようだ。
子猫を眺めているだけで、ほかのことを考えずに済む。
守ってやらなけばという使命感も生まれるようで、二匹の世話は怠ることは無かった。
幸い、どんなに体調が悪くとも、自殺を考えることは無かった。
自殺に関しては、結局 無用な心配だった訳だが、当時の俺は、自殺でもしそうな表情だったのだろう。
この後、数年にわたって心配をかけることになるのだが、それでも俺を見捨てなかった妻には、なんとお礼を言ったらいいか分からない。
今も安心しているわけではないだろうが、面と向かって言うのは恥ずかしいので、ここに書かせてもらおう。
本当にありがとう。
・・・つづく。
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